EmDash を Cloudflare で動かすと月いくらか。実測の数字と、公開までの7つの手順
AI導入

先に結論
小さな会社のサイトを EmDash で作り、Cloudflare で動かすなら、月の費用の目安は5ドルだ。 2026年10月26日の為替(1ドル157.45円)で787円、消費税10%を足して約870円になる。
内訳は Cloudflare Workers の有料プラン(Workers Paid)の最低料金だけだ。 データベース(D1)や画像の置き場(R2)は、この料金に含まれる量の中で収まる見込みである。 EmDash 本体は MIT ライセンスのオープンソースで、使う料金はかからない。
無料プランでも動きはする。 ただし、ページを表示するたびに止まるおそれがあるので、仕事で使うサイトには勧めない。 理由は後で数字を示す。
EmDash とは
EmDash は、Cloudflare が2026年に出したオープンソースの CMS(ホームページの中身を管理画面から直す仕組み)だ。 2026年9月に 1.0(安定版)になり、2026年10月26日時点の最新は 1.3.1 である。
WordPress と比べたときの違いは3つある。
- PHP を使わない。サーバーの PHP を手入れする作業が要らない
- AI とつなぐ仕組み(MCP)を、はじめから持っている
- 管理画面へのログインは、パスワードではなくパスキーが基本
Kanau Tech は、自分のサイト web.kanautech.jp を EmDash 1.3.1 で作り、2026年10月26日に公開した。 この記事の実測の数字は、そのサイトで取ったものだ。
何にいくらかかるか
EmDash を Cloudflare で動かすと、使う部品は次のとおりになる。 料金は Cloudflare の公式の料金表から、2026年10月27日に写した。
| 部品 | 役目 | 有料プランの月5ドルに含まれる量 | 超えたとき |
|---|---|---|---|
| Workers | ページを作って返す | リクエスト1,000万回、CPU 時間3,000万ミリ秒 | 100万回ごとに0.30ドル、CPU 100万ミリ秒ごとに0.02ドル |
| D1 | 記事や設定を入れるデータベース | 読み250億行、書き5,000万行、保存5GB | 読み100万行ごとに0.001ドルなど |
| KV | ログインの状態などを置く | 読み1,000万回、書き100万回、保存1GB | 読み100万回ごとに0.50ドルなど |
| R2 | 画像の置き場 | 保存10GBまで無料(全プラン) | 1GBごとに月0.015ドル。取り出しの転送料はかからない |
もう1つ、管理画面からメールを送る部品(Email Service)がある。 担当者の招待やログイン用のメールに使う。 Cloudflare で確認済みのアドレスへ送るだけなら、全プランで無料だ。 確認していない任意のアドレスへ送るには有料プランが要り、月3,000通まで含まれる。
消費税について、Cloudflare は2024年4月1日から日本の利用者からの徴収を始めている。 請求書での表示(税率や登録番号)は、この記事では確かめていない。 上の約870円は、日本の標準税率10%で計算した数字だ。
月に何ページまで5ドルで足りるか
Kanau Tech のサイトで、トップページを5回表示して CPU 時間を測った。 結果は34〜64ミリ秒だった。 EmDash は1分ごとに裏の作業(定期実行)も動かしていて、1回23ミリ秒だった。
この数字で計算すると、次のようになる。
- 裏の作業は月に約4万3千回で、CPU 時間は約99万ミリ秒
- 1ページ表示を64ミリ秒(測った中で一番大きい値)とすると、含まれる3,000万ミリ秒で約45万回表示できる
- 月3万回の表示なら、使うのは含まれる量の約10%
超えた分は、100万回の表示ごとに1.28ドル(約200円・税別)が足される計算になる。 小さな会社のサイトで月45万回の表示を超えることは、まれだろう。
この計算は推定である。 ページの中身や画像の数で CPU 時間は変わる。 画像や CSS のような静的なファイルの配信は、Workers の料金に数えない(公式の説明による)。
無料プランを勧めない理由
Workers の無料プランは、1回の処理に使える CPU 時間が10ミリ秒までだ。 測ったトップページは34〜64ミリ秒で、上限を3〜6倍超えている。
公式の説明では、たまに超えるのは許されるが、続けて超えると打ち切られ、Error 1102 の画面になる。 1日10万回のリクエストを超えたときも、Error 1027 で止まる。
お客様が見に来たときにエラーが出るおそれがあるなら、月5ドルを払っておくほうが安い。 試しに動かすだけなら、無料プランで始めて構わない。
なお、この記事の数字を測った web.kanautech.jp は、2026年10月27日時点では無料プランで動いている。 測ったときにエラーは出なかった。 ただし、上の数字は無料プランの上限を超えているので、見に来る人が増えたときに止まらない保証は無い。 仕事で使うサイトに有料プランを勧めるのは、このためだ。
公開までの7つの手順
ここからは、自分で手を動かす方向けだ。 EmDash の公式の手順に沿い、Kanau Tech が実際に流した結果を添えて書く。 1〜2番目は、2026年10月27日に create-emdash 1.3.1 のひな形で確かめた。 3番目と5〜7番目は、Kanau Tech のサイトを公開したときに流した(公開はひな形ではなく、手を加えたサイトで行った)。 前提は、Node.js 22.23.4 以上と、Cloudflare のアカウントがあることだ。
- ひな形を作る。質問に答える形でも作れるが、次の1行でも作れる
npm create emdash@latest my-emdash-site -- --template cloudflare:starter --pm npm --no-install --no-sandboxed-plugins --yes
- 手元で動かして確かめる
cd my-emdash-site
npm install
npm run dev
- Cloudflare にログインする(ブラウザが開く)
npx wrangler login
- データベースと画像の置き場を作る。D1 を作ると出てくる
database_idを、wrangler.jsoncの D1 の欄に1行足す
npx wrangler d1 create my-emdash-site
npx wrangler r2 bucket create my-emdash-media
- 公開する
npm run deploy
- 暗号化の鍵を作って、Cloudflare に入れる
npx emdash secrets generate
npx wrangler secret put EMDASH_ENCRYPTION_KEY
2行目を流すと鍵を聞かれるので、1行目で出た値を貼る。
- 公開したらすぐに、管理画面(
/_emdash/admin)を開いて初期設定をする
7番目は急いだほうがよい。 Kanau Tech が EmDash 1.3.1 で確かめたところ、公開した直後は、最初に管理画面を開いた人が管理者になれる。 合言葉は無く、パスキーの登録だけで済む。 Kanau Tech のサイトでは、合言葉を知らない人には初期設定の入口を閉じる仕組みを足してから公開した。
試していないことも書いておく。
ひな形のまま5番目まで流すことと、4番目の R2 の作成は試していない。
画像の置き場(R2)は、アカウントで初めて使うときに利用開始の操作が要る場合がある。
Kanau Tech のサイトは画像を載せないので、R2 を外している。
画像を使わないなら、astro.config.mjs の storage と wrangler.jsonc の r2_buckets を消せば、4番目の2行目は要らない。
自分でやるか、任せるか
公開するところまでは、上の手順で進められる。 手間がかかるのはその後だ。 WordPress からの記事の引っ越し、デザインの作り直し、担当の方が AI に頼んで下書きを作り、確かめて公開する流れを決めること。 ここは、会社ごとに決め方が違う。
Kanau Tech では、EmDash で作るところから、担当の方が自分で更新できるようになるまでを「AIネイティブなホームページ 導入サポート」としてお手伝いしている。 EmDash で動いている実物は、web.kanautech.jp で見られる。
出典(いずれも2026年10月27日に確認)
- Workers の料金(Cloudflare Docs) https://developers.cloudflare.com/workers/platform/pricing/
- Workers の上限(CPU 時間・Error 1102) https://developers.cloudflare.com/workers/platform/limits/
- 静的なファイルの料金 https://developers.cloudflare.com/workers/static-assets/billing-and-limitations/
- D1 の料金 https://developers.cloudflare.com/d1/platform/pricing/
- KV の料金 https://developers.cloudflare.com/kv/platform/pricing/
- R2 の料金 https://developers.cloudflare.com/r2/pricing/
- Email Service の料金 https://developers.cloudflare.com/email-service/platform/pricing/
- 消費税(Cloudflare Docs) https://developers.cloudflare.com/billing/understand/sales-tax/
- 為替(欧州中央銀行の参照レート、2026年10月26日) https://api.frankfurter.dev/v1/latest?base=USD&symbols=JPY
- EmDash を Cloudflare で動かす(EmDash Docs) https://docs.emdashcms.com/deployment/cloudflare
- EmDash の始め方(EmDash Docs) https://docs.emdashcms.com/getting-started
- EmDash のソースコード(GitHub、MIT ライセンス) https://github.com/emdash-cms/emdash
EmDash で作るところから任せたいときは
WordPress からの引っ越し、デザインの作り直し、AI に下書きを頼んで担当の方が公開する流れまで、まとめてお手伝いします。



