メインコンテンツへスキップ
Kanau Tech™ - かなうテック
← ブログ一覧に戻る
事業戦略

道路を作る人 vs 車を売る人 — DX支援の2つのアプローチ

2026-03-09by DO XUAN HIEN
道路を作る人 vs 車を売る人 — DX支援の2つのアプローチ

結論 ― DX支援は「何を売るか」で全く違う

DX支援会社はふたつに分けられます。「車を売る会社」と「道を作る会社」です。

どちらも中小企業のデジタル化を支援すると名乗っています。しかし提供するものは本質的に異なります。そしてその違いが、DX導入の成否を決定的に分けます。

現在、日本のDX支援市場の大半を占めるのは「車を売る会社」です。SaaSツール、クラウドサービス、AIアプリ——これらを契約させ、セットアップして終わりにする。ツール自体は優れていますが、使う側の道が整っていなければ、どんな車も走れません。

かなうテックは「道を作る会社」です。その意味と、なぜそちらを選んだかを具体的な事例とともに説明します。


「車を売る」アプローチの限界

車を売るアプローチには明確なビジネス上の合理性があります。SaaSの月額課金は安定した収益を生み、スケールしやすく、サポートコストも低く抑えられます。

問題は、顧客側の視点です。

ツールを契約した中小企業の経営者が直面する現実はこうです。「すごく便利そうなデモを見て契約した。でも実際に使おうとすると、データをどう移行すればいいかわからない。現場スタッフは慣れない操作に戸惑っている。サポートに問い合わせると定型的なFAQしか返ってこない。3ヶ月が経ち、月額費用だけが積み上がっている。」

このパターンはDX失敗の典型です。優れたF1カーを渡された。しかし走るための道がなかった。現場のリテラシー、業務フロー、データ構造、組織内のルール——これらを整備しないままツールだけ導入しても、現場は旧来のやり方に戻ります。

総務省のデータが示すDX成果実感率16%という数字は、「車を売る」アプローチが中小企業に機能していないことの証拠です。


「道を作る」アプローチとは何か

道を作るとは、業務フローを整備し、データを整理し、組織内にデジタル活用のルールを根づかせることです。技術の導入はその後です。

このアプローチは時間がかかるように見えます。しかし実際には、道が整備された状態でツールを導入するほうが、断然速く成果が出ます。基礎工事をしっかりやった建物は長持ちし、基礎なしで建てた建物はすぐ傾く。DXもまったく同じです。

道を作るプロセスは3段階に分かれます。

第1段階: 現状の地形調査(DX診断)。業務フローを可視化し、どこに非効率があるかを特定します。担当者へのヒアリング、業務フローのマッピング、データ所在の確認——この作業に1〜2週間かけます。

第2段階: 整地(Foundation)。デジタル業務の基盤を整えます。情報の集約、業務の標準化、既存ツールの最適活用。この段階で多くの場合、すでにある程度の業務効率化が実現します。

第3段階: 舗装(KanaCore)。整備された道の上にAI・自動化を乗せます。基盤があるため、自動化は素直に機能します。


事例: 介護施設の勤怠管理 — 260分が10分に

抽象的な話だけでは伝わりません。具体的な事例を紹介します。

千葉県内のある介護施設では、月末の勤怠集計に毎月260分以上かかっていました。スタッフ30名分の紙の出勤票を主任が回収し、Excelに一人ずつ手入力し、エラーがあれば本人に確認して修正する——この繰り返しです。入力ミスも月に数件発生し、給与計算のやり直しが生じることもありました。

「車を売る」アプローチなら、勤怠管理SaaSを契約して終わりです。しかしこの施設の現場では、スタッフの半数以上がスマートフォン操作に不慣れで、そもそも「アプリを開く」ことへの抵抗がありました。ツールを入れるだけでは、使われない未来が見えていました。

かなうテックが実施したのは以下の手順です。

まずDX診断で業務フロー全体を可視化しました。勤怠以外にも、シフト調整・連絡事項の伝達・記録管理に合計で月400分以上の手作業が潜んでいることが判明しました。

次にFoundation段階で、スタッフ全員が1アクションで打刻できるQRコードシステムを設計しました。スマートフォンのアプリ操作は不要で、施設に設置したタブレット端末でQRをかざすだけです。打刻データは自動的にGoogleスプレッドシートに集計されます。

最後にKanaCoreとして、集計データから月次レポートを自動生成する仕組みを構築しました。主任は月末にボタンを1回押すだけでレポートが完成します。

結果、月260分かかっていた勤怠集計は10分以下になりました。エラー率はゼロです。スタッフからは「むしろこっちのほうが簡単」という声が出ました。なぜなら、現場の実態に合わせて道を設計したからです。


かなうテックが「道を作る」理由

ベトナムで育った私が日本に来た理由のひとつは、ODA(政府開発援助)によるインフラ整備プロジェクトへの関心でした。道路や橋を作る技術者の仕事に、深く感動した経験があります。

日本の中小企業を見ていると、同じ問題構造が見えます。AI時代のF1カー(ツール)はどこでも手に入る。しかし、それを走らせるための道(業務基盤)が整っていない。336万社の中小企業が、AI時代に乗り遅れているのはツールのせいではなく、道がないせいです。

だからかなうテックは「道を作る」ことを選びました。ツールを売って次の顧客へ移るのではなく、現場に根づく変化を一緒に作り、走り続けられる状態を整える。それが「技術は、届いてこそ価値になる」というタグラインの意味です。

車を売る会社はたくさんあります。道を作る会社は少ない。だからこそ、そこに存在意義があります。


「うちの場合、どちらのアプローチが必要か」を判断するには、まず現状の業務基盤を診断することが必要です。

Foundation(基盤整備)サービスの詳細を見る

御社のDX力、3分でチェックしませんか?

10問の簡単な質問でIT基盤・業務デジタル化・AI活用度を無料診断。改善のヒントもわかります。

無料DX診断を受ける →